ペーパーレスをタブレットで進めるには?メリットや注意点を解説

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【この記事の内容】

DXを始めとしたデジタル主体の社会が進む昨今、デジタル化の第一歩として資料のペーパーレス化から始める企業は決して珍しくありません。

しかし、導入に際して使用デバイスをどうすればいいか、迷っている方も多いのではないでしょうか。ペーパーレスを活用するデバイスは、PCやスマートフォンよりもiPadを始めとしたタブレット端末が業務には効果的です。

本記事ではタブレット端末によるペーパーレスがもたらす変化や導入手順、ポイントについて解説します。

ペーパーレスが自社に起こす変化は5つ

まず、ペーパーレスの導入によって起こる変化は以下の5つです。

  • 「時間があったらやろう」を減らせる
  • 作業のムラ・ミスを減らせる
  • 「あれ、探してきて」を減らせる
  • 営業資料をその場で修正できる
  • その日の業務をスピーディーに完結

ここでは上記5つの変化について解説します。

「時間があったらやろう」を減らせる

ペーパーレスを導入すると、これまで煩雑だったファイリング作業が発生しなくなります。

たとえば、毎月の注文請書や注文書などの引のファイリングです。取引の度に用紙を整理していては手間がかかりますし、「あとで時間ができたときにまとめればいいか」と後回しにすると用紙の紛失や作業を忘れるリスクがあります。

しかしタブレット端末で取引情報を電子印鑑やpdf化すれば、情報を全て1つのタブレット上で一括管理できます。特に取引先が多い企業ほど、ペーパーレス化による業務効率の向上が見込めるでしょう。

作業のムラ・ミスを減らせる

ペーパーレス主体の業務では、従業員間の書類のやり取りを確実にでき、情報共有のタイムラグも大幅に短縮できます。

紙媒体の業務では書類の「渡した・渡してない」といったトラブルがしばしば起こります。たとえば、営業部門で取引先から発注書や請求書を貰ってきたにも関わらず自分のところで止めていると、他の営業担当や経理に書類が届かず手続きが遅れかねません。

ペーパーレスで書類や情報を、端末を通して共有すれば、受け渡しがログとして残る上、リアルタイムで情報を共有できます。

「あれ、探してきて」を減らせる

ペーパーレスは書類棚や倉庫を必要としません。資料を探す時にいちいち書類棚から該当書類を探し出す作業がなくなりますし、上司や上層部からの「あれ、探してきて」といった指示もなくせます。

また、タブレット端末を用いれば持ち運びも簡単なため、出先で「資料をオフィスに置いてきてしまった」となったときでも安心です。

営業資料をその場で修正できる

ペーパーレスは書類を全てデータ化できるため、紙の資料に比べて不備があったり更新が必要な場合に修正が簡単にできます。たとえば、会議に使う資料に重大な表記ミスが判明した場合、用紙だと全て再印刷する手間とコストが発生します。

これまでは紙で出力していた資料を修正したり呼びかける手間がかかっていましたが、ペーパーレスなら必要な場合にすぐ修正して関係者に伝えるだけでOKです。

その日の業務をスピーディーに完結

日報や進捗の共有など1日の締め業務も、タブレット端末を用いたペーパーレスならオンライン上で完結できます。

たとえば紙媒体だと、営業の外回りや取引先との商談終わりに、一度会社に戻ってきて報告資料を作成しなければなりません。そのため、本来ならもっと早く終わるはずの仕事を残業してまで取り組む必要があります。

しかし日報や報告業務にタブレット端末を用いれば、商談後の帰路や自宅で、進捗やステータスを更新できます。

タブレットは会社で支給する?個人で準備する?

業務にタブレット端末を使用する際は、セキュリティ上のリスクから業務専用タブレット端末として会社で支給するのがおすすめです。

個人のタブレット端末にツールやアプリケーションを導入する場合だと、従業員が悪質なWebサイトやマルウェアに引っかかった際、自社の重要情報が外部に漏洩するリスクがあります。

また業務専用のタブレット端末の場合でも、端末上に他のアプリケーションをインストールしない、閲覧するWebサイトに制限を設けるなど使用規則を定めなければなりません。

個人ではセキュリティ性能にバラつきが生じるため、会社支給で統一したセキュリティ体制をしきましょう。

【ペーパーレス推進】タブレットを導入するシーンを紹介

ここでは、タブレット端末でペーパーレス化する場合の主な利用シーンを3点ご紹介します。

書類のPDF化から閲覧

タブレット端末なら社内回覧や会議資料を電子化し、印刷コストや紙の保管スペースを大幅に削減できます。

特に、シュレッダーにかける書類の対象やメモ書きの処分までデリケートに扱っているような会社の場合は、電子化でその手間やストレスを軽減できるため情報保全にも効果的です。

またタブレット端末を用いれば、スキャナアプリで誰でも簡単に紙の書類やメモ書きをpdf化できます。「紙の過去資料が多すぎてペーパーレスに完全移行できない…」といった企業にもおすすめです。

契約書の電子化

契約書(秘密保持や取引約款等)をペーパーレスにすれば、リモートでスピーディーな取引が可能です。契約書のハンコを貰いに行くだけの時間も省けますし、機密情報の持ち歩きリスクも軽減できます。

営業資料の電子化から提供

商談時に使う資料を電子化すれば、持ち歩く書類の削減や資料の持ち忘れを減らせます。また、顧客にもデバイス上で資料を共有できるため、資料URLを送り「こちらの資料をもとに検討いただければ」と提案するといった使い方も可能です。

タブレットによるペーパーレスが進まない要因は3つ

便利なタブレット端末といえど、ただデバイスやツールを導入すればペーパーレスが実現するわけではありません。ここでは、タブレット端末を導入したにもかかわらずペーパーレスが職場で浸透しない3つの要因について解説します。

新しいツールに抵抗感をおぼえる人への研修や理解を促す

これまですべて紙媒体で行っていた場合、電子化に対してマイナスイメージを抱かれたり面倒だと感じて批判の声が挙がる可能性があります。

タブレット端末とペーパーレスを導入する際は、まず「電子化への理解」と「ツールの扱いに慣れる」を最初の目標としましょう。

ペーパーレスの第一歩目として取り組む内容には、以下の3点が効果的です。

  • 事前にタブレット端末・書類のペーパーレスに対する意識調査を実施する
  • 実験的に一部の書類をペーパーレス化する
  • ツールやタブレット操作の研修を実施する

ペーパーレス成功のポイントは「従業員の理解と納得」です。一方的な推進ではなく相互理解を前提とした導入を心がけましょう。

導入コスト

従業員分のタブレット端末とツールを導入するには相応のコストがかかるため、上層部の理解を得る必要があります。

上層部がペーパーレスに消極的な場合、以下の導入メリットを踏まえて説得し、システムに対する理解を深めてもらいましょう。

  • 印刷や廃棄にかかるコストの削減
  • 業務上のミス・ムラの軽減
  • 業務スピードのアップ
  • 無駄な残業の軽減

説得にあたっては、ペーパーレスに相応の費用対効果があることを証明する必要があります。具体的な導入コストの見積もり、削減できる費用の明示、他社の事例も用意できるとベターです。

もし、ランニングコストを懸念される場合は、無料ツールの利用や法人レンタルサービスから始めるといった選択肢を提示するのもよいでしょう。

セキュリティやシステム障害への懸念

タブレット端末は便利な反面、セキュリティ上のトラブルが発生する可能性があります。リスクをあらかじめピックアップして、無料ツールを使うのか、きちんとセキュリティ面でフォローしてもらえるツールを選択するか見極めなければなりません。

その他、タブレット端末でセキュリティを強化するには、以下の取り組みが効果的です。

  • プライベートのタブレット端末を使用しない(会社から支給する)
  • 社内で決めたアプリケーション以外インストールしない
  • Webサイトの閲覧に制限をかける
  • 持ち運び・使用上の規則を設ける
  • 端末に覗き見防止フィルムを貼る

タブレット端末は全社共有のシステムになるため、社内情報が外部に漏れないよう注意しなければなりません。

【ペーパーレスは段階的に】無理なく社内へ浸透させる始め方

ここでは、ペーパーレス導入を円滑に進める事前準備について解説します。

最初は「紙媒体+タブレット」からスタートする

ペーパーレス導入は、従来の紙資料をそのままにタブレットを補助的に使うところからスタートして、段階的に移行しましょう。

急に資料や契約書を全てタブレットに限定すると、社内も顧客も混乱します。初期段階のペーパーレスは研修と考え、まずはツールや新システムに慣れてもらうところからスタートしましょう。

対顧客では紙資料とあわせて準備する

顧客との取引や商談に対しては、社内以上に配慮したいところです。既存の取引先ならペーパーレス化の事前通知を行い、先方に理解してもらえるまでは紙の資料も用意しておくのが無難でしょう。新顧客の場合でも同様です。

社内でペーパーレスの研修を充実させる

ペーパーレスの推進にはタブレット操作はもちろん、ペーパーレス推進の意義を全員が理解した上で、正しい知識をつけなければなりません。

たとえば電子契約書締結の規則、資料データの収納箇所、資料を誤送信した際の対処法などビジネスシーンでの使用には覚える項目が多岐に渡ります。

タブレット導入時はベンダーから丁寧な説明を受けたり、外部の研修を活用したりして全員が足並みを揃えられる環境づくりが欠かせません。

まとめ

タブレット端末を活用したペーパーレスの推進には、当事者自身がペーパーレスについて理解を深めていなければなりません。上層部に対して導入を説得するなら尚のこと、導入にかかる費用や必要な期間を定め、計画的に進める必要があります。

とはいえ壁はあれど、ペーパーレスが実現すれば遠回り気味な業務や無駄なコストの削減など、如実な効果が現れるのは間違いありません。従業員がより効率的で働きやすい環境を整えるためにも、タブレット端末を用いたペーパーレスを推進しましょう。

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