ペーパーレスを推進しようにもどこから手をつけたらいいか戸惑っている担当者様へ。本記事では、社内のペーパーレスの第一歩を踏み出すためのポイントと、実際にペーパーレス化を実現した事例について解説します。
ペーパーレス化は事例をもとに導入手順を探ろう
ペーパーレス化を進めるうえで最初の壁は「どこから始めるべきか」です。ペーパーレスといっても、業種や所属部署、組織のITリテラシーによって方法は異なります。自社に前例がないために最初の一歩が踏み出せないといったケースも珍しくありません。
最初の壁を打ち破るのに有用なのが「自社に近しい業態の導入事例」です。他企業の事例はペーパーレス化のイメージを掴む最高の研究材料です。積極的に活用して自社のペーパーレスに役立てましょう。
ペーパーレス化の事例を3つ紹介
まずここでは、自治体、学校を含めたペーパーレス化の導入事例を5つ解説します。
【自治体】愛媛県西予市の事例
愛媛県西予市はICTを活用した働き方改革の一環として、紙を使用する業務を電子に置き換える取り組みを行っています。
西予市はかねてからの問題として地域の過疎化に伴う職員の削減に悩まされており、職員1人1人の生産性を上げる必要性に迫られていました。そこで取り組んだのが、ペーパーレス化による業務効率の向上です。
同自治体が業務のペーパーレス化にあたって取り組んだ事柄は以下の5点です。
- ペーパーレスツールの選定及び情報の電子化
- 円滑な情報共有を目的とした議員へのタブレット端末の配布
- SNSを用いた地域情報発信
- Web会議システムの導入
- 役場内インターネットの無線LAN導入
上記の取り組みを積極的に行った結果、同自治体は約20%の業務効率向上に成功、年間1,600万円相当の経費削減効果を得るまでになりました。
【自治体】長野県長野市の事例
長野県長野市は、会議にかかる資料準備の手間と印刷コストの削減を目的として、ICTを活用したペーパーレス会議システムを導入しました。
同自治体がシステムを導入するにあたって取り組んだ内容は、主に以下の3点です。
- 扱いやすいツールの選定
- ペーパーレス会議の実施方法の決定
- ペーパーレス会議の運用ルールの決定
まず、会議システムに使うツールはIT知識に疎い人でも使えるよう、シンプルさを重視しています。次に会議の実施方法は、会議室の席数と同じ数のノートパソコンと大型のディスプレイを2台用意し、自動で画面共有を行う形式です。
また運用に当たっては資料データの書式やパソコン画面での見やすさを配慮するよう、資料に関して一定のルールが設けられています。
長野市は上記の取り組みの結果、会議に使用する用紙の大幅な削減と会議時間の短縮に成功しました。また、議論の論点が以前より明確になるといった効果も得られています。
【学校】連絡をペーパーレス化
福岡県久留米市立篠山小学校では、教職員間の情報共有と業務時間に課題を抱えている背景から、ICTを活用した働き方改革を実施しました。実施の際に用いたツールは主にGoogleCalendarやGoogle spreadsheetを始めとしたクラウドシステムです。
同校が既存業務のペーパーレス化に伴い行った取り組みは主に以下の4点です。
- 月行事や週行事・直近の予定をクラウド上でリアルタイムに共有して連絡
- チャットツールを活用したタイムリーな情報連携の実施
- カレンダー機能で特別教室の予約状況を一元管理
- 会議システムを利用したクラウド上の意見交流
上記の徹底したクラウドシステムの使用によって、同校は既存業務にかかる時間の大幅短縮に成功し、児童たちに集中して向き合う時間を以前より確保できるようになりました。
また、本事例ではGoogleの無料ツールが使用されていますが、各ツールの使用方法やシステムの浸透には時間を要します。他校の事例では学校支援に特化したユーザビリティの高いICTツールもあるため、ITツールに疎い職員が多い学校におすすめです。
事例からわかるペーパーレス化3つのポイント
ここでは紹介事例からわかるペーパーレス化導入を成功させる3つのポイントを解説します。
使いやすいツールを活用する
まず、紹介事例全てに共通しているポイントが、ツールの扱いやすさを優先している点です。iPadやタブレット端末、スマートフォンを中心に、扱いやすいデバイスが採用されています。
また、使用するソフトウェアも比較的機能がシンプルで直感的に操作できるものが使われています。デジタルツールに疎い40代以降の世代にとって、ICTツールは非常に扱いが難しく、導入にあたって現場から反対の声や不満が募るケースも珍しくありません。
したがって、導入に当たっては普段から扱っているデバイスかつ、使用ツールもiTに疎い人へ配慮した選定が必須です。
紙との併用から移行する
次に重要なのが、ペーパーレス化を段階別で計画的に推進していく姿勢です。最初は紙主体で業務を行い、一部業務をペーパーレス化するといった取り組みから始めましょう。
ただし、いつまで経っても紙との併用を続けるのは得策ではありません。紙媒体とデジタルの併用は現場に混乱を招きやすく、職員からも「これなら紙でやっていたときのほうがマシだった」といったシステムに対する不満の声も上がります。
初期はツールの使用感に慣れてもらう意味で一部業務のみの導入に留め、数ヶ月〜1年程度の期間かけて段階的に全体にシステムを浸透させましょう。
事前調査を入念に
ペーパーレスの導入は組織全体の理解が欠かせないため、事前に職員に対する意識調査の実施が必要です。ペーパーレスのツールを実際に使用するのは、主に現場にいる職員です。経営陣による一方的な推進ではなく、現場との相互理解を前提とした導入を進めましょう。
研修体制やマニュアルの構築はもちろん、段階別の意識調査や使用感のヒアリング、導入効果の評価など実施状況が目に見える形にしておくのが望ましいです。
ゼロからスタートする場合におすすめの方法
ここでは、ペーパーレス化推進の第一歩として取り組むのにおすすめの手法を3点ご紹介します。
まずは無料ツールを触ってみる
自身が主導でペーパーレスを進めるには、まず自分が「便利だ」と感じることが大切です。
業務ではなくプライベートの予定や日誌、家計簿など自身の私生活に用いてみるのもよいでしょう。まずは無料で構わないので、ツールを触ってみてペーパーレス化のイメージを掴むところからスタートです。
ツール導入のゴールを示す
自社にペーパーレスを導入する場合は「なぜ導入するか」「自分にどんな変化がおとずれるか」といった5W1Hの分析にもとづいたゴールを設定しましょう。
具体的には従業員への事前調査で抱えている課題を抽出、ツールの導入と課題を結びつけ、どのような効果が現れたら成功といえるのかを定義します。
働き方の選択肢が増える
ペーパーレス化は従業員のリモートワークやスキマ時間を使った業務が可能です。そのため、これまで当たり前だった外回りから帰ってきて時間を確保して細かな業務に時間を割く必要が無くなります。
業務の進め方が変わる
契約書の場合はこれまで上長の承認をとったり、先方とのやりとりに時間がかかり締結まで時間がかかっていましたが、オンラインで完結する場合はタイムラグを短縮できます。
紙媒体を希望する顧客はそのまま維持しながらも、ペーパーレスに取り組んでいる企業にあわせられるのがペーパーレスの利点です。
本格的な有償ツールの導入はベンダーに相談しながら進める
有償ツールを本格的に自社へ導入する際は、ICTツールを提供している専門のベンダーと相談しながらペーパーレスを加速させるのをおすすめします。
ペーパーレスを本格始動させる場合、無料ツールのときと異なり運用コストに見あった効果が有償ツールによって得られなければなりません。
また、従業員が使いやすいツールなのか、システムの浸透にどれくらいの期間を要するか、計画的に進行する必要があります。
まとめ
ペーパーレス化をゼロからスタートするには、まずは導入事例から自社に近しいものを参考にしてイメージを掴むところから始めましょう。ペーパーレスといっても使用ツールは無料から有償までさまざま、自社の組織風土に合ったツールの選定が必要です。
また、導入にあたっては従業員との連携や事前調査など、周囲の理解が欠かせません。組織全体で常にPDCAを回しながら、計画的なペーパーレス化を進めましょう。
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