【デジタル大好き税理士・戸村涼子presentsペーパーレスから始めよう】デジタル時代におけるコミュニケーションのコツ

コロナ禍によるリモートワークの普及により、コミュニケーションもデジタル化が進みました。筆者は、コロナ前からSkypeなどのビデオ会議やチャットなどのデジタルツールを使っていたのでそこまで抵抗はなかったのですが、中にはこれらのツールに初めて触れて、とまどいを覚えた方もいるでしょう。無理もありません。これまでであればオフィスで顔を突き合わせて話ができたのに、それがすべて慣れないビデオ会議ツールやチャットに置き換わったのです。

コロナが落ち着いた2024年5月現在、オフィス勤務の回帰は進みましたが、デジタルのコミュニケーションもいまだ重要な位置づけです。今日は、コロナ前からデジタルツールを使ってコミュニケーションをしてきた筆者が、デジタル時代におけるコミュニケーションのコツを書きます。

明確性を意識する

デジタルに限ったことではありませんが、明確性を意識することが円滑なコミュニケーションには必須です。特に、メールやチャットなどは相手の姿が見えないため、雰囲気を察することはできません。文字ですべて理解してもらうのは、意外と訓練が必要です。

まずは、「受信者に何をしてほしいのか」を明らかにしましょう。メールを受け取る相手は、もしかしたらすごく忙しい状態でメールを見ているかもしれません。そんなときに、冒頭に関係ない事柄が長々と書かれていて、「で、結局何をしてほしいのか」がぱっと見てわからなかったら、その時点で後回しにされかねません。

簡潔な説明も大事ですね。冗長な説明が続いている、余計な情報が入っている状態でも明確な文章とは言えません。

メールの受信者に、迷わせないために「選択肢」を提示するのも一つの手です。例えば、日程調整はビジネスで必須ですね。私は日程調整をするときには「◯◯さんの、ご都合の良い日時を教えて下さい」という書き方はしません。これだと、相手に「なるべく早めがいいのかな」「時間は午前・午後どちらがいいのかな」など、迷わせてしまうからです。そこで、「選択肢を出して限定する」ことをします。こちらから「都合の良い日時は、こちらです」と明確に提示するのです。実際は、選択肢以外にも空いている日時はあるのですが敢えて限定してしまいます。その他、判断を仰ぐときは「どうしたいですか?」ではなくてA案、B案などいくつか案を提示して選んでいただくようにしています。こうすることによって、相手の負担を減らすことができます。職業柄、忙しい経営者と接する私にとっては必須のスキルです。

とはいえ、「明確に書けているか自信がない…」という方も多いでしょう。そんなときにお勧めのツールがそう、今流行りのChatGPTなどの生成AIです。生成AIは「大規模言語モデル」が採用されており、言語に関するタスクをサポートするのに一番適しています。

例えば、得意先や上司に送るメールを一旦生成AIにコピーし、

  • 誤字脱字があったら教えて下さい
  • 文脈と言葉が合わない部分があったら教えて下さい
  • 冗長な表現があったら教えて下さい

といったことを聞いてみるのです。生成AIは高速で校正を行ってくれるでしょう。また、よく使う単語は単語辞書やスニペットツールに登録しておけばすぐに呼び出せるので効率的にメールを書くことができます。このようなツールを使えば、時間をかけすぎることを防げます。

適切なツールを選ぶ

デジタルコミュニケーションツールには様々な種類があります。大きく分けて、同期型と非同期型があります。

同期型は、ZOOMなどに代表するビデオ会議ツールです。リアルと同様、参加する人が時間を合わせる必要があります。もうひとつが、非同期型のメール、チャットなどです。こちらは相手がすぐ見ることが予定されていないため非同期のコミュニケーションと言えます。(たまにチャットは同期型と言われますが、筆者は双方タイミングの良いときに返信すればよいという考えです)

それぞれ、違いがあるためコミュニケーションの相手、内容によってツールを分けたほうが良いでしょう。例えば、「目的が明らか」なコミュニケーションは、断然メールやチャットなどの非同期ツールが良いでしょう。目的が明らかなのであれば、簡潔に伝えやすいからです。逆に、目的が明らかであるにも関わらず同期コミュニケーションであるZOOMを使う理由はないでしょう。単なる報告であったらなおさらです。

一方、明確な目的がない、「相談したい」「複雑な業務のすり合わせをしたい」「感謝や謝罪など感情を伝えたい」などのときはビデオ会議などの同期ツールが望ましいでしょう。特に、仕事上困っているときに「上司に相談したい」という方は多いと思いますが、そういうときにだーっと長文メールを書くことはお勧めしません。というのも、抱えている悩みというのは他者と対話することによって分かっていくことも多いからです。それに、先程書いたように上司も忙しい身分。長文を見るなりげんなりしてしまうかもしれません。そんなことになるくらいだったら、メールで一言「◯◯の進め方について、困っていることがあります。具体的には◯◯の件です。つきましては、1時間程度オンライン会議の時間をいただけないでしょうか」と送るほうが互いにとって得策です。また、業務が複雑で、メールで書くとかなりの長文になると予想されるときは時間をとってオンライン会議をしたほうが時間を節約できることも多いです。筆者は、よく複雑な税金のルールを説明するときにオンライン会議をお願いしています。もちろん、図解を交えて簡潔に説明して一回で終わるようにしています。

感謝や謝罪などの感情を伝えたいときも文字ではなく同期コミュニケーションのほうが伝わるでしょう。ただ、この場合にはそもそもデジタルではなくて直接会ったほうが良いと考えています。

このように、必ずしも「デジタルツールを使えば良い」とは言えません。場面ごとに、適切なツールを選んでいくことが円滑なコミュニケーションのコツです。

言葉を選ぶ

デジタルコミュニケーションは文字が中心です。そうなると、「言葉」にはとても敏感になったほうが良いです。ちょっと前に、「マルハラ」なんて言葉がありました。上司からのLINEやチャットに、「◯◯です。」と語尾に丸がついてあるだけで新人は怖くなってしまうとか。昭和世代の私から見ると「怖がりすぎ?」と思えなくもないですが、まあ気持ちはわかります。なんか怖いですよね、目上の人手あればなおさら。確かに、私も文字だけのコミュニケーションをしていて「安心してメールを見られる人」というのが存在します。その違いはなんだろう、と整理してみると、

  • 「!」などの感嘆句を敢えて入れている
  • 簡潔な内容の上で、邪魔にならない程度の雑談が入っている
  • メール受信者のことを知ろうとしてくれている
  • 「いつも助かります」「いつも感謝しております」などの言葉を添えてくれる
  • 語尾が丁寧(〜していただけると助かります、〜くださると幸いです、など)

ということに気づきました。

逆に、

  • 丁寧な文章だけど句読点が多く硬い印象
  • テンプレメッセージ
  • 簡潔な内容だけど、一方的
  • 相手に対してあまり興味がない感じ
  • 「〜してください」など語尾が厳しめ

だと、なんだかやりとりするのも辛くなってしまいます…(私が繊細すぎるのでしょうか)。仕事相手とはいえ、血の通った人間同士。相手を思いやる気持ちは必要です。

上記の2つの違いは「単に自分の伝えたいことを伝えれば良い」と思っているのか、「相手に心地よく仕事をしてもらいたい」と思っているのかの違いだと思います。目の前に人がいることを忘れずにいられるかどうか、単にこれだけの違いです。

実は、私自身も上記のことに気をつけてメールを作っています。簡潔な内容にしつつも、なるべく人間性を出していって相手にリラックスして読んでもらいたいと思っているんですね。「そんなことしていたらいつまでたっても仕事終わらない」と思われるかもしれませんが、そんなに難しいことではなくて、「自分が受け取ったら嬉しいと思うような文章」を心がければいいと考えています。

単に形式が整った文章と、相手を思いやった文章は違います。まだ新人の方は難しいかもしれませんが、形式はChatGPTでいくらでも校正してくれますので、受け取る相手のことを思いやった文章をこころがけてみてください。それだけで受け取った人に好印象を持ってもらえ、その後の業務もスムーズになるはずです。ちょっとタイパを忘れて、言葉に敏感になってみませんか。

関連するタグ
ペーパーレスから始めよう
関連するワード

コミュニケーション,生成AI