改正電子帳簿保存法対応のソフト4選!ペーパーレス化に向けたポイントも解説

目次
【この記事の内容】

改正電子帳簿保存法への対応や、ペーパーレス化への対応のために使いやすい会計ソフトや法対応のアプリの導入を考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、改正電子帳簿保存法で押さえておくべきポイントを解説し、電帳法に対応したおすすめの会計ソフトやアプリを紹介します。

改正電子帳簿保存法対応のソフトを選ぶポイント

改正電子帳簿保存法に対応した会計・帳票ソフトを導入して、同時にペーパーレス化を促進したい場合は、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • JIIMA認証を取得しているか
  • どの業務をどのように改善したいのかを明確にしておく
  • ペーパーレス化し電子データで残したい書類に対応しているか
  • 「真実性の確保」と「可視性の確保」の電帳法の保存要件を満たす機能は使いやすいか
  • 社内で利用している他のシステムと連携可能か
  • 自社の規模や予算に合った料金プランか
  • 使いやすいソフトになっているか

上記のポイントを明確にしておくことで、電帳法に対応しつつペーパーレス化を進めるのに最適なソフトを選べます。

改正電子帳簿保存法対応のソフト導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

改正電子帳簿保存法に対応したおすすめのソフト4選

ペーパーレス化のため、会計ソフトや帳票ソフトを選ぶ際は、改正電子帳簿保存法に対応しているかが選ぶ際のポイントとなります。

改正電子帳簿保存法に対応しているか否かは公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が定めている認証制度で確認できます。

RICOH 証憑電子保存サービス

RICOH 証憑電子保存サービスは、入力代行サービスとも連携して、様々な証憑を一元保存する電子保存サービスです。「電子取引ソフト法的要件認証」「スキャナ保存ソフト法的要件認証」と、2つのJIIMA認証を受けています。

様々な証憑を一元管理できることが特徴で、請求書、納品書、領収書、見積書、検収書、注文書など複数証憑の保存に対応しており、過去の証憑の検索も簡単に行えます。

また、ご自身で入力するのが手間な場合は、「取引先名」「取引金額」「取引日」などの入力代行サービスもご用意。精度99.9%のデータ化を目標としており、正確性の高い代行サービスを提供しています。

また、RICOH 証憑電子保存サービスは証憑をブラウザにアップロードするのであれば単独導入が可能です。しかし、紙の証憑をスキャンするためには別途、複合機の導入が必要になります。複合機の対応機種は公式HPをご覧ください。

【導入コスト(税抜き)】

商品名 価格
RICOH 証憑電子保存サービス 基本料金 3,000円(月額) / 1契約
RICOH 証憑電子保存サービス 入力代行サービス 70円 / 1通
RICOH 証憑電子保存サービス 10GB追加ストレージ料金 500円(月額) / 1契約

freee会計

freeeは、クラウド会計ソフト市場で1位を獲得したことのある会計ソフト。freeeは「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」と「電子取引ソフト法的要件認証」のJIIMA認証を受けています。

既存の会計ソフトでできる機能はもちろんのこと、kintoneやSalesforceなど様々なツールとの連携も可能。もちろん、銀行やクレジットカード明細の自動連携も利用可能。

また、freee会計はSlackとの連携も可能。ワークフローで承認依頼があった際にはSlackアプリ上で行えるため、社内のペーパーレス促進にも繋がるでしょう。

freee会計は中小企業向けのミニマム・ベーシックプラン、中堅企業向けのプロフェッショナルプランと、中堅・大企業向けのエンタープライズプランの4つが展開されています。それぞれ追加できるユーザー数や、機能に違いがあるため、企業規模や上場予定の有無などによってプランを選ぶのがおすすめです。

freee会計で紙の領収書等のスキャンで取り込むには、複合機などを利用する必要があります。freee会計と連携できるスキャンアプリケーションもあるので、対応アプリはこちらのページをご覧ください。また、freee会計ではオプション無しの単独導入で、証憑の保存が月10GBまで可能です。

【導入コスト(税抜き)】

ミニマム ベーシック プロフェッショナル エンタープライズ
料金(年払い) 1,980円/月あたり
23,760円/年
39,800円 / 月
477,600円/年
39,800円 / 月
477,600円/年
要相談
料金(月払い) 2,680円/月 47,760円/月 47,760円/月 要相談

マネーフォワード

マネーフォワードは複数のJIIMA認証を取得しているクラウド会計ソフトです。

JIIMA認証

電子取引ソフト法的要件認証
・スキャナ保存ソフト法的要件認証

電子取引ソフト法的要件認証

サービス名

・マネーフォワードクラウド経費
・マネーフォワードクラウド債務支払

・マネーフォワード ケッサイ
・マネーフォワードクラウドBOX
・マネーフォワードクラウド請求書Plus

基本的な機能はfreeeと同じですが、freeeでは対応している記帳の完全自動化には対応していません。

しかし、マネーフォワードは連携機関の多さと同期頻度の高さがfeeeeよりも優れています。freeeの同期頻度が銀行口座が毎週2回、クレジットカードは毎月1回なのに対し、マネーフォワードは両方1日1回同期できるため、自動でデータの最新性が担保できます。

また、マネーフォワードには、小規模事業者向けのスモールビジネス、中小企業向けのビジネス、IPO準備・中堅〜上場企業向けのクラウド会計Plusが用意されています。

マネーフォワードで紙の領収書等をスキャンで読み込む際は、複合機などスキャナー機能のある機器が必要になります。詳しくは、公式HPをご覧ください。また、マネーフォワードではオプション無しの単独導入で、証憑の保存が可能です。

【マネーフォワードクラウド会計 導入コスト(税抜き)】

 

ミニマム

ベーシック

プロフェッショナル

料金(年払い)

2,980円/月
年額35,760円

4,980円/月
年額59,760円

要相談

料金(月払い)

3,980円/月

5,980円/月

要相談

TOKIUM電子帳簿保存

TOKIUM電子帳簿保存は、電子帳簿保存法の要件を満たした上で、国税関係書類を保存するクラウド文書管理システムです。「電子書類ソフト法的要件認証」「電子取引ソフト法的要件認証のJIIMA認証を取得しています。様々な証憑を電子化し一元管理でき、帳簿保存に特化したシステムだといえるでしょう。

TOKIUM電子帳簿保存では、99.9%という高精度でデータ化できる「オペレーター入力プラン」、AIが自動入力してくれる「AI-OCRプラン」、自分自身で入力を行う「セルフプラン」の3つが用意されています。

また、TOKIUM電子帳簿保存の主な機能は証憑を電子帳簿保存法に対応した形で一元管理でき、請求書と契約書などの関連書類の紐づけや、原本の代理保管が挙げられます。

TOKIUM電子帳簿保存は36種類以上の会計システムとの連携が可能です。直接会計ソフトにインポート可能なCSVファイルで出力できるため、会計システムに別途入力する手間を省けます。 

【導入コスト】

 

ビジネス

エンタープライズプラン

月額料金

10,000円〜/月

100,000円〜/月

改正電子帳簿保存法とは

そもそも電子帳簿保存法とは「これまで紙で行われていた帳簿の保存を、電子データでも保存可能にする」ための法律です。

電子帳簿保存法により企業のデジタル化やペーパーレス化を推進できるメリットがあり、経理などバックオフィスの効率化が可能です。

電子帳簿保存法ができた背景

電子帳簿保存法は平成10年度にできた法律で、デジタル化の促進や業務効率の向上を目的に制定されました。当時の日本では書類を紙ではなく電子データで保存したいという要望が寄せられていたということも背景に挙げられます。

また、平成17年度には電子帳簿保存法が改正され、帳簿書類をスキャナで読み込み、電子データで保存することが認められました。しかし、帳簿書類の金額上限が3万円に限定されるなど、実用化にはまだまだ規制が多い状況でした。

そこから、平成27年度に規制が大幅緩和され、帳簿書類の限度額なども撤廃されました。

電帳法改正のポイント

令和3年度の改正電子帳簿保存法では、大きく以下の点が改正されています。

緩和されたポイント

令和3年度の改正電子帳簿保存法で緩和されたポイントは以下が挙げられます。

  • 「電磁的記録での保存」および「スキャナによる保存」を行うために必要だった、税務署長の承認が廃止された
  • タイムスタンプ付与の署名が緩和された
  • タイムスタンプの付与期限が3日以内から2ヶ月まで延長された
  • スキャナ保存した原本の保存が不要になった

規制が強化されたポイント

令和3年度の法改正で大幅に緩和されましたが、新たに義務化されたものもあります。

  • 電子取引の領収書を紙に印刷しての保存が認められなくなった(電子保存の義務化)

詳細はこちらをご参照ください。https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf

令和5年度度税制改正大綱のポイント

令和5年度度税制改正大綱では、以下のポイントが改正されます。

  • 過少申告加算税5%軽減や所得税の青色申告特別控除が可能な「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の範囲が明確化される
  • スキャナ保存時の保存要件の一部が廃止され、スキャナ保存に関する規制が緩和される
  • 検索機能の全てを不要とする措置の対象者が基準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000 万円以下」から「5,000 万円以下」の保存義務者に拡大される

このように、令和5年度税制改正大綱では電子帳簿保存法に関する規制緩和が行われます。
詳細はこちらをご参照ください。 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0023003-082.pdf

一般企業が改正電子帳簿保存法に関して対応しなければいけないこと

改正電子帳簿保存法が施行されることで、一般企業は電子取引の電子保存が義務化されます。これまで宥恕期間が設定されていましたが、令和5年12月31日をもって宥恕措置が廃止されるからです。宥恕期間中は「やむを得ない事情がある場合、税務調査などで出力書面の提示または提出に応じられれば、令和5年度末までの2年間は電子取引データの紙保存も可」 となりました。

そのため、一般企業はこの機会に電帳法対応をしっかり整備を行わなければいけません。

具体的な電帳法対応としては、保存されたデータが改ざんされないようにする「真実性の確保」と、保存されたデータを検索・表示できるようにする「可視性の確保」の2つの電子データの保存要件を満たしておく必要があります。ただし、可視性の確保に関しては、令和5年の法改正にて売上高が5,000万円以下の事業者は不要になりました。

また、令和6年度以降は新たに猶予措置が適用され、売上高に関わらず紙保存での管理が容認されています。しかし、紙保存をするには電子保管対応ができないことに相当の理由があることや、税務調査の際に電子データを渡せる状態で保存している事が求められるため、早めに電帳法対応を行い、これを機に社内のペーパーレス化を促進することが大切です。

電子帳簿保存法で認められている3つの保存区分

電子帳簿保存法では、現在以下3つの保存方法が認められています。

電子帳簿等保存

これは最も一般的な保存方法で、自社が会計ソフト等で作成した帳簿や決算関係書類などを「電子データのままで保存する」ことを指します。ここでの電子データとは、PCなどを用いて作成・保存されるものを指し、特定のソフトウェアやハードウェアに縛られることなく、一般的な形式で保存されるものが基本です。

電子取引保存

最後に、電子メールでのやりとりなどで受領した請求書や領収書も、データのまま保存することが認められています。こちらも、スキャナ保存同様に改ざん防止対策が施されたデータに限られるなど、4つの保存要件があります。

【4つの保存要件】

電子取引保存には、真実性の確保と可視性の確保として以下4つの保存要件が求められます。

  • 真実性の確保:タイムスタンプを付与する
  • 可視性の確保:会計システムを導入する際は、システムの概要を記載した関連書類の備え付ける
  • 可視性の確保:電子計算機・プログラム・ディスプレイを使用する場合は、保存場所に操作説明書を備え付ける
  • 可視性の確保:「取引年月日」「取引先」「取引金額」などの項目で検索機能を確保しておく

まとめ:改正電子帳簿保存法への確実な対応、そしてペーパーレス化をすすめましょう

改正電子帳簿保存法の改正が重なり、企業は帳簿やデータの保存に細心の注意を払う必要が出てきました。

しかし、法対応にはワークフローの更新が求められるので、認証を受けた製品の中で、最も仕事がしやすいものを慎重に選ぶ必要があります。そのためにはペーパーレス化も一緒にすすめることが大切です。

ぜひ、改正電子帳簿保存法に対応しつつペーパーレス化を推進させましょう。

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