近年、多くの場面においてペーパーレスが叫ばれ、また普及が進んでいます。ペーパーレスの大きなメリットとして「環境への配慮」が挙げられますが、この環境は「地球環境」「業務環境」の2種類に分かれます。
今回はペーパーレスがもたらすさまざまな環境へのメリットを紹介します。持続可能な地球を守るためだけでなく、働き方改革にも対応した業務形態が叶うでしょう。
【ペーパーレス推進の要因】世界が抱える重大な2つの「環境」課題
さまざまな業界・業種において契約書やプレゼンテーションの資料のペーパーレスが広がっています。また、役所に行った際タブレットで手続きを行ったりオンラインでの申請を求められたり、ペーパーレスの広がりを実感した方も多いのではないでしょうか。ここではペーパーレスがこれほどまで進んでいる2つの理由を紹介します。
CO2削減
ペーパーレスは従来紙で行っていたやりとりを電子データに変えるため、コピー用紙を使う機会が減ります。紙を使う回数が減ると焼却時のCO2排出量を抑えられるため、環境保持の観点から推奨されています。
現代は技術の進化によって年々便利になっています。一方で環境破壊やCO2排出量の増加が長きにわたり課題となり、いよいよ本格的に改善しなければいけないフェーズに到達しています。住みよい地球環境を永続的に守るために、ペーパーレスの推進は欠かせないでしょう。
働き方改革
ペーパーレスは働き方改革の観点からも有効とされています。近年、さまざまな働き方に対応する企業が増え、フルフレックス制度やフルリモートワークを推奨する企業もあります。オフィスに出社せず業務を行う場合、ペーパーレスへの着目は不可欠です。従業員がリモート勤務する場合、必要資料を全てオンラインで閲覧できるようにしなければならないため、必然的にペーパーレス化が進みます。
また、近年は高齢化や人口の減少により、これまで活躍してこなかった人たちも活躍の機会が高まります。そのためには働き方の多様化に対応した業務スタイルを各企業で考えていく必要があるでしょう。
ペーパーレスは「地球環境」に配慮した取り組み
ペーパーレスを話題にあげると真っ先に「地球環境に配慮している」というイメージが浮かびます。しかし、具体的にペーパーレスがどのような意味で環境に貢献しているか知らない方もいるでしょう。ここではペーパーレスの結果、地球環境に配慮できる2つの観点を紹介します。
紙の印刷や廃棄代を削減
これまで紙に出力していた資料を電子化すると、紙の使用量を大幅に削減できます。たとえば、毎月末に50の取引先に対して各10枚の経理書類を紙で送っていた場合、電子化により1ヶ月で500枚の削減が叶います。
紙を使わないため焼却時のCO2排出量を抑えられるのはもちろん、コピー機を使う頻度も減るためインク代やトナー代の節約にもつながります。
伐採する木を減らし環境保全の一翼を担う
日本製紙グループによると、1本の植林木から約13,000枚のA4コピー用紙ができるとのデータが出ています。そのため、各企業がペーパーレスを推進すると木の伐採機会削減にもつながります。
ただし、紙そのものはリサイクルした古紙を含んでいたり、最終的に土に還るという概念があったりすることから一概に「環境保全に絶対的な効果がある」とは言えません。しかし、私たちが紙の使用量を減らすことで伐採される木が減り、土砂災害を減らしたり動植物の環境破壊を少しでも食い止められる可能性はあります。
また、ペーパーレスは業務効率化においては適正な導入で必ず効果を期待できます。ペーパーレスは環境保全の一翼を担い、かつ私たちの働き方を改善する取り組みです。
ペーパーレスは「労働環境」にも配慮した取り組み
ペーパーレスはさまざまな業界の労働環境を変化させる取り組みです。ここからは労働環境の観点からペーパーレスのメリットを解説します。
メリット1:資料を探す手間を省ける
ペーパーレスはパソコンをはじめとしたデジタルデバイスに必要資料を保存できるため資料を探す時間を省けます。たとえば、全体ミーティングに必要な資料をミーティング開催日の数週間前に配られていた場合、当日になって「あの資料をどこにしまったんだろう」と探す手間が発生します。
しかし、デジタルデバイスに資料が保存されている場合、パソコンやタブレットを持って会議に参加するだけです。また、話し合いの際に「あの資料に数値書いてあったけれど、どこにあるんだろう」というケースにおいても、各自デジタルデバイスから資料を探せ、スムーズに共有が叶います。
資料を探す時間は一回あたりではわずかなものですが、積み重なると膨大な時間を消費します。タイトな業務スケジュールで働く人にとって、ペーパーレスはおすすめの業務フロー改善法です。
メリット2:判断までの時間を短縮
ペーパーレスを推進すると、各業務の判断に必要な時間を大幅に短縮できます。たとえば、これまで上長に対して提案資料を持って行き稟議の後に実践、という流れをとっていた場合、動き出しまで多くの日数を要します。
その場合、急ぎ顧客に提案したくとも上司が出張に行っていてなかなか業務が進まない、という悩みも発生するでしょう。しかし、デジタルデバイスで稟議書を確認できるようになると上司がどこにいても判断までの時間を短縮可能です。上司がリモートワークであってもすぐに指示を仰げるメリットもあります。
また、顧客に対してもペーパーレスは業務効率化を助けます。たとえば、これまで顧客のオフィスに行き資料を紙で説明し、社内稟議の後に可否をもらっていた場合、1週間から1ヶ月程度の時間がかかります。
しかし、オンラインミーティングと対面いずれもタブレットで資料を共有すると、その場で疑問点を解消してもらったり、具体的な導入フローを確認してもらったりできます。契約の進み具合によっては、当日中に契約書にサインをもらえるという可能性も出てくるでしょう。
メリット3:紙の収納スペース削減でフロアを広く活用
紙のデータを保管している場合、別途収納するスペースを設ける必要があったり、デスク上が散らかったりする悩みが発生します。しかし、ペーパーレスを推進すると社内がスッキリしてフロアに余力が生まれたり無駄な動きがなくなったりするでしょう。
一時期、リモートワークを強く推奨する動きがありました。しかし、最近はまたオフィス回帰の考えを持つ企業が増加しています。ただし、せっかくオフィスに人が戻ってきたとしても働きにくい環境では業務効率が低下したり、モチベーション低下につながったりします。ペーパーレスをきっかけに、フロアを広く活用し働きやすい環境づくりを意識しましょう
ペーパーレスはサービスや商品提供にもメリットがある
これまで企業にとってペーパーレスはメリットが豊富であると解説してきましたが、その先につながる顧客もメリットを享受することができます。ここからは3つの業界においてペーパーレスを推進した結果、顧客が得られるメリットを紹介します。
福祉サービス利用者の場合
介護や保育などの福祉サービスにおいてペーパーレスを推進すると、サインを電子化で利用者がわざわざ郵送したり持ち込んだりする手間を省けます。福祉サービスの利用者は仕事や家事を抱えながら、利用する家族の手続きを行うため、負担や手間を省いてあげると顧客満足度向上につながります。
物流・運送業の場合
私たちの暮らしに欠かせない物流や運送業においてもペーパーレスは広がりを見せています。物流・運送業は労働時間に制限がかかる「2024年問題」を抱えており、人員の適正配置や業務効率化が急務です。運送業を営む企業でも廃車手配や輸送先での伝票の電子化などが進んでいますが、私たちが受け取る荷物のサインも電子化が進んでいます。
宅配便が届き、サインをしようとしたら専用端末での記名を求められて驚いた方もいるのではないでしょうか。物流業界は限られた時間と人員の中でもお客様に満足してもらえるよう、各所でペーパーレスの動きが高まっています。
教育機関の場合
幼稚園や保育園、学校でもペーパーレスで業務やコミュニケーションがとれる環境づくりを進めています。保護者向けの連絡をペーパーレスにして教職員の業務負担軽減を図り、かつ保護者が子どもからお便りをもらいそびれるトラブルを防ぎます。
また、オンライン授業を取り入れるとコロナウィルス流行時のように、今後イレギュラーが発生した場合も関係者すべてがスムーズに対応できるでしょう。
ペーパーレスとあわせて実践したいさまざまな「環境」に配慮した業務改善
企業がさまざまなペーパーレスによる環境改善を進める場合、現状の改善もあわせて進めましょう。
①ICTの推進
ペーパーレスはICT活用の一環であることから、他の業務フロー改善もあわせて行うと環境改善を加速させられます。たとえば、書類を電子化するのとあわせて会議をWEB会議に変更したり、コミュニケーションにチャットを導入したりしましょう。
ただし、デジタルデバイスに苦手意識を持つ従業員や顧客が多い場合はスモールステップでの導入が必要です。「今のメンバーは今までの仕事のやり方で20年近くやってきたのに、今から変化させるのは非効率的だ」とネガティブな声があがる可能性があります。環境の変化は痛みがつきものですが、従業員のケアをしながら進めていきましょう。
②書類を減らした後はオフィスのレイアウト変更
ペーパーレスによって書類が減り収納場所が不要になった場合、オフィスのレイアウト変更も行いましょう。せっかくオフィスが広くなったにもかかわらず、有効活用できなければ宝の持ち腐れです。
空いたスペースをフリースペースにして従業員同士自由に意見を交わせるようにし、自分のデスクを固定せずさまざまな場所で作業できる職場づくりに取り組んでみましょう。他部署が連携することで新たなアイディア創出につながったり、企業内の風通しが良くなったりするメリットがあります。
なお、レイアウトを変更する場合は上層部だけで決めず、現場の社員の意見を聞きながら進めましょう。最初は「このようなレイアウトは仕事に支障をきたすのでは」と不安を抱えますが、まずは一度取り組んでみましょう。
ただし取り組みは段階的に行おう
業務効率の改善や働き方改革への対応の結果としてペーパーレスが最適と感じた場合、ぜひ社内で推進しましょう。ただし、ペーパーレスの取り組みは段階的に進めることがポイントです。
急に全ての書類をデジタル化してしまうと、デジタルデバイスに苦手意識を持っている方や顧客が戸惑います。まずは紙とデジタルデバイスを同時に用意したり勤怠管理からペーパーレスにするなど、できるところからペーパーレスを推進しましょう。
ペーパーレスは従業員の働きやすさを後押しする選択肢です。そのため、従業員の意見を聞きながら適切なタイミングで範囲を広げていきましょう。
まとめ
ペーパーレスは地球環境への配慮だけでなく、さまざまな働き方にも対応する考え方です。紙を減らすことでどこでも働けるようになったり、オフィスを新しい働き方に変化させるきっかけになり得ます。
ただし、ペーパーレスが目的になり従業員や顧客に迷惑をかけるようでは導入は失敗に終わります。あくまで便利さを考えた結果、ペーパーレスが必要であると判断した場合に段階的に取り入れていきましょう。
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