【デジタル大好き税理士・戸村涼子presentsペーパーレスから始めよう】生成AI時代における読書の意味

皆さんは、普段読書をしますか?私は小さい頃から読書が好きで、休み時間に外で遊ばずに図書室にいるような子供でした。今でもその傾向は変わっておらず、日々の読書は私にとってなくてはならないものとなっています。

とはいえ、昨今は魅力的なWebコンテンツや動画が溢れているため「読書なんてしなくても情報は得られる」という意見を持つ方もいるかもしれません。

その一方で、「ビジネスパーソンが読むべき本」の情報が溢れ、「読書をしたほうが良いのはわかっているけど、何を読んで良いかわからない…」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。

さらには、生成AI時代において本の要約をすることは以前にも増して簡単になっており、単に知識を習得することを目的とした読書の意味が問われています。

そこで、自称?読書家である筆者が、生成AI時代における読書の意味は何か、問い直してみます。

読書のメリット

まず、気になるのが読書することのメリットですよね。

これだけ情報が溢れる時代に、なぜ本なのか。

まず、その情報量と正確性が挙げられます。昔に比べて自費出版などの手法が増えたとはいえ、出版社を通じた本の出版はハードルが高いものです。企画段階から多くのチェックが行われ、編集者の他に、多くの人が出版までに校正をするので、おのずとその内容も濃くなりますし、精度も高くなります。筆者もこれまで何冊か出版社を通じて本を出版していますが、出版直前は何度も細かい修正が入ります。誰もが自由にアップできるWeb記事やYouTubeなどと比較すると、その完成度はかなりの差がいまだあります。

二つめが、能動的になれることです。

朝、スマホでニュースサイトを開いたらつい他のリンクページを開いてしまって最初に見ていた記事を忘れてしまったことはないでしょうか。動画も同じで、「あなたへのおすすめ」の動画が次々に表示されて当初の目的を忘れて何時間も眺めてしまった…という経験は多くの人にあると思います。

一方、本は「文字」というかなり刺激の少ない媒体であるため、より能動的になれる特徴があります。ネット記事や動画のように視覚に訴えるものが少ないため、いやでも自分の頭の中でイメージを補完する必要があります。これが、かなり良い体験と個人的には考えています。次々と流れてくる情報を受動的に受け取るだけでは単なる消費時間になりかねませんが、本の場合は「考える力」「集中する力」につながっていきます。

3つめが、「時間を取り戻せる」ことです。

「え、読書こそ時間がかかる行為では?ただでさえ時間がない毎日なのに」と思われるかもしれません。ここで言っているのは単に時間の総量の話ではなくて、「自分だけの時間を取り戻す」という意味です。

先ほども書いた通り、ネット記事や動画を見ているときは、受動的であることが多いため、自分ではない外部のプラットフォーマーが提供する「これ面白いですよ」の情報に振り回されている時間ともいえます。一方、読書は自分だけの時間。読んでいる間は著者と丁寧に対話ができる贅沢な時間です。このメリットを最大限に活かすには、読書はなるべく紙の本を選ぶことが大切です。スマートフォンやタブレットの液晶での読書は、たとえ通知などが飛んでこなくても脳が目の前の情報を「デジタル」と強く捉えてしまうため集中力が削がれる感覚があります。

生成AIによって読書は効率化できる?

少し前までは、「コスパ」(コストパフォーマンス)が流行っていましたが、今は、「タイパ」(タイムパフォーマンス)が流行っています。つまり、いかに短い時間で多くのことをするか、が大事なようです。その考え方の現れなのか、最近は本の要約サービスが登場したり、有名な本をわかりやすく解説する動画が増えました。教養ブームも続いており、難しいことをわかりやすく!の動画が人気です。読書にも効率化の波がきています。

さて、今話題の生成AIによって読書はさらに効率化できるのでしょうか

実際、生成AIサービスであるChatGPTに有名なビジネス書である『7つの習慣』の要約をお願いしてみました。すると、以下の回答が表示されました。

『7つの習慣』は、スティーブン・R・コヴィーによって書かれた自己啓発書です。この本は、個人と専門家の成長に重点を置いた7つの原則を提供しています。以下にその要約を示します。

主体的に行動する(Be Proactive): 自分の人生において主体的であることの重要性を説く。反応的でなく、自己の行動を選択し、制御する。

目的を持って始める(Begin with the End in Mind): 明確な目標やビジョンを持ち、それに向かって行動することの重要性。

最優先事項を優先する(Put First Things First): 重要なタスクに優先順位をつけ、時間を管理する方法。

Win-Winを考える(Think Win-Win): 他人との関係において、双方にとって有益な解決策を見つけること。

まず理解に努め、そして理解される(Seek First to Understand, Then to Be Understood): 効果的なコミュニケーションのために、まず他者の立場を理解し、その後自分の立場を伝えること。

相乗効果を生み出す(Synergize): 人々が協力して、個々では達成できない結果を出すことの価値。

刃を研ぐ(Sharpen the Saw): 自己の身体的、精神的、社会的、感情的な側面を維持し、改善するために定期的に時間を割くこと。

これらの習慣は、個人の成長と効果的な人間関係を築くための基盤となるとコヴィーは説いています。

完璧な回答ですよね。個人と専門家の成長のために7つの習慣が必要で、その内容も詳細に回答してくれました。このとおりに生きていけば成功しそうです…かね?

ここまで引用しておいてなんですが、ビジネスに関する知識を最速で仕入れるなどの特殊なケースを除いて、生成AIで読書の効率化はできないと考えています。生成AIによって、その本に書かれている「内容」はわかります。でも、その内容を知っただけで人生は変わりません(友人に「読んだよ」とドヤることはできるかもしれません)。本を読んで、「自分で考える」。これこそが読書で得られる大切なスキルです。

生成AI時代における読書の価値

生成AI時代における読書の本当の価値はなんでしょうか。

そのひとつは、私は「読書をして、わからないことを楽しむ」ことと考えています。

「わからないことをわかるために本を読むんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。もちろんそういう本もあります。「⚪︎⚪︎が1時間でわかる本」などのように、特定の分野のハウツー本などはそうですね。でも中には、読めば読むほどわからなくなる本、というのも存在します。個人的には、そういう「わからない」を与えてくれる本こそが、良書と考えています。なぜなら、生成AIでいくらでも「わかる」ことは体験できるからです。この「わからない」を自分の中に住まわせておく能力のことを「ネガティブ・ケイパビリティ」と言うそうですが、聞けば一瞬で答えを出してくれる生成AI時代にとても大事な能力になってくると思います。世の中に価値を与えるためには、生成AIに答えられることを考えていても仕方ないためです。

生成AI時代における読書の価値としてもうひとつ考えられるのが「時間を味わう」ことです。一旦、読書以外で考えてみましょう。例えば、音楽です。昔はCDを買わなければ音楽を聴くことはできませんでした。でも今は音楽のサブスク契約をすればいくらでも音楽を聴くことができます。じゃあこれで人々の音楽体験の充実度は上がったのかと言うと、逆に下がったのではないでしょうか。私たちが本当に欲しいのは、音楽の「デジタル情報」ではなくて、初めてCDを買った時や、初めてライブに行った時のドキドキする「体験」のほうです。デジタル情報だけ消費するのは、体験と比べると相当価値の低いことではないでしょうか。

読書もこれと似ていて、いくら電子書籍で大量の本を購入してデジタル情報として媒体に記録されていても、なんか読む気がしないといった体験はないでしょうか。

私は少し前まで電子書籍派だったのですが、現在はなるべく紙の本を購入するようにしています。外出先に紙の本を何冊も持っていくわけにはいかないので電子書籍と使い分けはしているのですが、表紙のデザインや、紙の質、手触りなどすべて含めてリッチな読書体験には紙の本が必要と考えています(電子書籍と違って、友人と貸し借りできるのも良いですね)。

ちなみに私は遅読派で、「月に**冊読む」などの目標設定もしません。先ほども書いたように、本は「時間を味わう」メディアだと思っているので、早く読んで次々に消費することにあまり意味を感じないからです(もちろん、自分に合わないと思った本はすぐに読むのをやめます)。大事なのは、1冊の本から一つでもいいから「わからなさ」、つまり自分の「問い」を見つけることです。

「答え」が溢れる生成AI時代に、自分なりの「問い」を持つことの手段として、読書はますます欠かせないものになっていくはずです。

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